前回(第十六話)に引き続き、「パンとごはんと…」シリーズの中の、掻き落としの陶器、まるい縁取りの陶器、艶トルコ釉の器の3シリーズをお願いしている、窯元の「美濃文山窯」をご紹介します。
第十六話では美濃文山窯の高度な技術を中心にお伝えしましたが、今回は美濃文山窯のこだわりと歴史をお伝えします。
細かいこだわりから生まれる、日常使い出来る器
美濃地方に多く存在するのは量産窯で、基本的には分業制を採用しており、成形だけの窯、絵付けの窯、焼き窯といったように分かれていることが多いです。
美濃文山窯はそのような量産窯が多くあるエリアにもかかわらず、土作りから最終工程の焼きまで全てを1つの窯で手掛けています。
全ての行程を一カ所でやることにより、より細部までこだわることができ、他ではなかなか出来ない仕事が可能になります。
実際に美濃文山窯で作られた器を手に取るとわかるのですが、土物なのに、一般的な作家さんの作品のように分厚く重い物ではありません。
美濃文山窯は、広く日常で使いやすい器を目指し、土物だけど薄くゆがまない技術を追求しています。
生地は、軽くて白い志野土をベースに、その柔らかい焼き上がりの風合いが損なわれない強度の高い土をブレンド。
独自の技術で軽く使いやすい器を作ることに成功しました。
窯の伝統を引き継いだ手仕事の技術と熱心な研究によって、美濃文山窯の器は、作家物のような風合いが感じられる日常使い出来る物なのです。
これこそが美濃文山窯の良さであり、他ではなかなか真似が出来ない所だと私たちは考えています。
「時代に合わせて、いろんな物を作っていきたい!」
美濃文山窯は今から110〜120年前(明治時代)に岐阜県の土岐市に誕生しました。
窯を始めた当初は登り窯で徳利を作っていたそうです。
時代とともに量産窯が重宝されるようになり、登り窯から重油窯、ガス窯へと変化をしてきました。
また、日本人の生活や需要の変化により、作る物も徳利から、今のマグやお皿、ボウルなどへ時代とともに変化を遂げてきました。
今回のインタビューの最後に「今後は、どのような窯を目指していますか?」という質問をしてみると、
「伝統は守りつつ、そこに執着しすぎずに土や釉薬を研究して、時代に合わせた形や色を物作りに反映していきたい!」
というとても前向きな答えを頂きました。
小さい頃から美濃で器作りを体感している4代目ならではの、美濃の精神に基づいた言葉だと感じました。
「パンとごはんと…」の美濃文山窯の器達は、この様な素敵な窯の伝統と技術に基づき、で1つ1つ丁寧に作られています。
是非、お手に取っていただき、ご堪能いただければと思います。