管理栄養士でフードコーディネーターの菱沼未央さんと一緒に製作した、「パンとごはんと…」シリーズを詳しくご紹介しています。
今回は土の香りを残したとてもシンプルで素敵なマグカップを担当してくださる【竹隆窯】のご紹介です。
この窯は、美濃文山窯と同じく、私が陶器の仕事を始めるようになった当初から様々な商品を一緒に作ってきた、本当にお世話になっている窯です。
とても洗練された窯の一つで、暖かみと優しさのある器が数多く製作されている窯でもあります。
長い歴史と新しい「優しさ」が共存する窯
今回お伺いして驚いたのが、創業が大正2年(1913年)だと言う事。今から100年以上も前に窯を始めています。
なぜ私が驚いたのかというと、その歴史のわりには窯の雰囲気がとっても新しいのです。
建物が綺麗とか、最新の設備に囲まれている…と言うのではなく、ずら〜っと並ぶ商品の雰囲気がとっても新しいのです。
ナチュラル思考の女性や雑貨屋さんの雰囲気にぴったりの優しい雰囲気の物が沢山あります。
それもそのはず。現在、メーカーとの打ち合わせや製作の一部を若い女性がになっているのです。
その若い感覚が入っているためか、仕上がりの色や、手描きの絵のにじみ加減など、口では説明しにくい希望を感覚で分かってもらう事が出来るのです。
実は、このようにきめ細かい感覚のすりあわせが出来る窯は非常に少なく、こらも助けられる事がとても多いのです。
柔らかい仕上がりのを作り上げる為の二つの技術
竹隆窯では、大きく分けて白い磁器土と赤い陶器土の2種類を使っており、それぞれの土の特徴に合わせ、作る物の形を決めています。
今回、私たちがお願いしているマグカップは赤い土を使っています。
この土の特徴は、焼き上がりの素地の色がとても柔らかく綺麗です。
今回のマグはその素地を活かすために、あえて全てに釉薬をかけず、素地を残した物にしました。
自然な柔らかい仕上がりの秘密は、土だけでなく、空気を入れながら焼く、「酸化焼成」という方法にもあります。
さらに、竹隆窯は通常の酸化焼成よりも低温で焼き上げています。
低温で焼き上げる事は、強度が下げてしまうかも知れないというリスクを伴います。
しかし、あえて低温で仕上げるのは、思い通りの色を出す事と、焼き上がりの表情を柔らかく保つためです。
以上の技術を使って今回の素敵なマグカップが完成しました。
優しく味わいのある陶器を作るための竹隆窯のこだわりが詰まった「パンとごはんと…」のマグカップ。
是非、大切に使って頂きたいと思います。