私たちがブランドを開発するときには、色んなパターンが有ります。
良い出会いがあってピンと思い浮かぶ場合、物作りの拠点としている岐阜と愛知の窯屋さんに行った際にイメージが広がる場合。
色々試しに作ってもらった中から良い物が出来上がった物にブランドイメージを乗せていく場合など、本当に様々なシチュエーションからブランドが生まれます。
Ancient Potteryには、初めからしっかりしたコンセプトと仕上がりイメージがあり、さらにはターゲットプライスまで決まっていました。
こういう場合は、そのイメージやコンセプトを叶えられる窯屋さんを探さなくてはなりません。
幸いにも、私たちが陶磁器を作っている美濃地方は日本一の陶磁器の産地で、大量生産から作家物まで幅広い技術を持っているので、この企画をひっさげて美濃を訪れた際、共作できそうな窯が三軒ありました。
その三軒全ての窯屋さんに企画内容を伝え、サンプルを作る事からこのプロジェクトが動き始めたのです。
今回、この企画に賛同していただき、Ancient Potteryを手掛けていただくことになった「山功高木製陶」さんは、以前にも何度かお世話になったことのある窯屋さんですが、こんなにこだわりの強い企画にお付き合いいただいたのは初めて。
色見本から始まり、型の作成、サンプル制作、土と釉薬のテストに至るまで、すっとOKを出したことは一度も無く、細部の修正を繰り返しお願いしました。
半年以上、修正の繰り返しでしたが、本当に根気よく試作を上げていただいたおかげで、Ancient Potteryを世に出すことが出来ました。
今回は、その「山功高木製陶」をご紹介したいと思います。
山功高木製陶
1929年に創業し創業当初は登り窯を使い煎茶碗を生産していました。90年の歴史の中で登り窯はガス窯へ変化し、煎茶碗だけでなく茶碗、マグカップ、急須など様々な物を作るようになりました。
現在は三代目の崇さんに代替わりをし、『温かみのある器づくり』をコンセプトに焼き物ならではの色や質感を感じられるような物作りに取り組んでいます。
お料理に調和する温もりのある食器をめざして
山功高木製陶さんでは、3つの成形技術を使い、ストーンウェアという陶器と磁器の良さを持つ丈夫で温かみのある土を使っています。
また掘り、一珍、印花、撥水による絵付けなど、手作業による加飾を得意とし、通常1回で済む素焼きを2回したり、道具を手作りするなど細部に至るまでこだわりを持っています。
そのこだわりは全て、生活にフィットした使いやすさと、日々の楽しさや喜びの実現のためだと言います。
Ancient Potteryを一緒に作る事になって
私たちの企画の意図をくんで、一生懸命取り組んでいただけた山功高木製陶さんですが、この器に対しての思いや苦労した点などをお伺いしました。
下記は山功高木製陶さんのお言葉をそのまま掲載致します。
CHIPSさんの色へのこだわりが、ひしひしと伝わってきたので何とかして納得のいく色が出せないか試行錯誤しました
微妙に色の違う釉薬をいくつも試しました。釉薬が決まっても、釉薬の濃さや、窯の焼き場(窯の中は場所によって温度が違うため、釉薬の溶け方が違ってくる)を何度も試しました。
また、釉薬と形状の相性がうまくいかず型の微妙な修正もおこないました。
普段、加飾の多い当社ですが、色と形のみで雰囲気をつくりだしていくことにこだわり、つくり出せた事が今後の器づくりに活かせていけるのではないかと思っています。
そういった意味でAncient Potteryは当社にとって特別な器です。
山功高木製陶さんの努力とこだわりと、物作りにおける真摯な姿勢が、Ancient Potteryを生み出す原動力になりました。
このような窯屋さんに出会えたことをとても感謝しています。
このAncient Potteryシリーズが、皆さんの食卓に溶け込む日々を楽しみにしています。